
親族の服装は、一般ゲストより「一段格を上げた」正礼装・準礼装が基本です。母親は黒留袖または落ち着いたダークフォーマル、父親は紋付袴またはモーニングコートが定番とされています。
新郎新婦の両家親族の服装は、結婚式全体の格式を左右する重要な要素です。2026年現在も、正礼装・準礼装を選ぶ親族と、洋装のフォーマルを選ぶ親族が混在しており、「両家で格を揃える」ことが最大のマナーとされています。このガイドでは、関係別・式の種類別に服装の選び方を詳しく解説します。
親族の服装の基本原則:ゲストより格を上げる
親族の服装でもっとも重要なのは、一般ゲスト(招待客)より格式を高くするという原則です。
一般ゲストが「準礼装・略礼装」であるのに対し、両家の親・兄弟姉妹・叔父叔母などの親族は「正礼装」または「準礼装(フォーマル)」を選ぶのがマナーです。また、両家の格を揃えることが最優先で、片方の家だけが和装・洋装になると写真に統一感が出ません。事前に新郎新婦を通じて両家で相談しておきましょう。
格の目安:
- 正礼装:黒留袖、紋付袴、モーニングコート
- 準礼装(フォーマル):色留袖、訪問着(5つ紋・3つ紋)、ダークフォーマルドレス、ディレクターズスーツ
- 略礼装:振袖、洋装のセミフォーマル(一般ゲスト向け)
母親の服装:黒留袖 vs ダークフォーマル
和装の場合:黒留袖(くろとめそで)
黒留袖は、既婚女性が着る最も格式の高い正礼装です。婚礼の場では新郎新婦の母親の代名詞ともいえる存在で、家紋を5つ入れた正式なものを選びます。
黒留袖を選ぶ際のポイント:
- 紋の数:五つ紋が正式(染め抜き日向紋)
- 帯:袋帯(二重太鼓)
- 草履・バッグ:礼装用の金銀か白の草履と礼装バッグを揃える
- 髪型:華やかなアップスタイルが基本
洋装の場合:ダークフォーマルドレス
近年は洋装フォーマルを選ぶ母親も増えています。ゼクシィ結婚トレンド調査2024では、招待客数の平均が52.0人(前年比+2.9人、49.1→52.0人)と回復傾向にあり1、式のスタイルが多様化するなかで洋装フォーマルの選択肢が広がっています。
洋装フォーマルの選び方:
- 色:ブラック、ネイビー、シャンパンゴールドなどの落ち着いたダークカラー
- 丈:ロング(床すれすれ)かミディ丈が正式
- 白・オフホワイト・明るすぎる色は避ける
- アクセサリー:パールや上品なジュエリーを合わせる
| 比較項目 | 黒留袖(和装) | ダークフォーマル(洋装) |
|---|---|---|
| 格式 | 正礼装(最高格) | 準礼装〜正礼装相当 |
| 式への適合 | 神前式・披露宴に最適 | チャペル・レストラン婚に最適 |
| 動きやすさ | 制限あり | 動きやすい |
| 費用目安 | 購入15〜30万円/レンタル5〜10万円 | 購入3〜15万円/レンタル2〜5万円 |
| 注意点 | 着付けが必要 | サイズ・品質に差が出やすい |
父親の服装:紋付袴 vs モーニングコート
和装の場合:紋付袴(もんつきはかま)
父親が和装を選ぶなら、五つ紋の黒羽二重(くろはぶたえ)の着物に仙台平(せんだいひら)の袴を合わせた「黒紋付羽織袴」が正礼装です。母親が黒留袖を選ぶ場合、父親も和装を合わせるのが基本とされています。
洋装の場合:モーニングコート
洋装を選ぶ父親にはモーニングコートが昼間の正礼装です。夜の披露宴(18時以降)には燕尾服、もしくはタキシードが正礼装となります。
父親の服装早見表:
| 時間帯 | 和装 | 洋装(正礼装) |
|---|---|---|
| 昼間(〜18時) | 黒紋付羽織袴 | モーニングコート |
| 夜間(18時〜) | 黒紋付羽織袴 | 燕尾服(フルドレス) |
| 夜・略礼装 | 黒紋付羽織袴 | タキシード(ディナージャケット) |
モーニングコートのネクタイはシルバーグレーのアスコットタイや縞タイが正式です。黒一色のネクタイは弔事を連想させるため避けましょう。
兄弟・姉妹の服装
姉妹(女性)の場合
姉妹の婚姻状況によって適切な服装が異なります。
| 婚姻状況 | 和装(推奨) | 洋装(代替可) |
|---|---|---|
| 未婚 | 振袖(第一礼装) | ロングドレスまたはセミフォーマル |
| 既婚 | 黒留袖(五つ紋)または色留袖 | ダークフォーマルドレス |
未婚の姉妹が振袖を選ぶ場合、花嫁が和装でなくても問題ありません。ただし白の振袖は花嫁の白無垢と被るため避けます。洋装の姉妹はゲストより格を上げ、ロングドレスやセミフォーマルを選びましょう。
兄弟(男性)の場合
既婚・未婚に関わらず、礼装・準礼装を選びます。両親が和装なら兄弟も紋付袴が最も統一感が出ますが、洋装スーツでも問題ありません。その場合は一般ゲストとの差別化として「ブラックスーツ(礼服)+白シャツ+フォーマルタイ」を選び、カジュアルなビジネススーツは避けましょう。男性のスーツ・服装のマナー詳細も参考にしてください。
祖父母・叔父叔母・いとこの服装
祖父母
祖父母は準礼装が基本です。高齢の場合、動きやすさを優先して和装から洋装に変える方も増えています。
- 祖母(和装):色留袖・訪問着
- 祖母(洋装):ダークカラーのフォーマルスーツまたはドレス
- 祖父(和装):紋付袴(略式でも可)
- 祖父(洋装):ブラックスーツ・ダークグレーフォーマルスーツ
叔父叔母・いとこ
叔父叔母は準礼装が目安です。叔母の和装は訪問着・色留袖、洋装はフォーマルスーツやセミフォーマルドレス。叔父・いとこの男性はダークスーツが基本です。いとこや遠い親戚は一般ゲストと同格でも問題ない場合もありますが、新郎新婦に事前確認しておくと安心です。
式の種類別:親族服装の選び方
神前式(しんぜんしき)の場合
神前式は日本の伝統的な挙式形式で、格式と和の雰囲気が重視されます。親族の和装率が高く、母親の黒留袖・父親の紋付袴が最も式の雰囲気に調和します。洋装での参列も可能ですが、できる限り和装を選ぶのが望ましいとされています。
チャペルウェディング(教会式)の場合
チャペルウェディングでは洋装が自然に映えます。母親はダークフォーマルドレス、父親はモーニングコートまたはダークスーツが基本です。和装で参列する場合は事前に式場に確認しましょう。
披露宴のみ・レストランウェディングの場合
やや格を落とした準礼装・セミフォーマルでも対応可能ですが、親族として一般ゲストより格を上げる原則は変わりません。ロングドレスやフォーマルスーツを基準に選びましょう。
服装選びでよくある失敗と対策
失敗1:両家で格がバラバラになった → 事前に新郎新婦を介して両家で「和装か洋装か」「格のレベル」を共有する。写真で見ると差が歴然なため、式の2〜3カ月前に決定しておく。
失敗2:靴やバッグが服装と釣り合わない → 和装なら礼装用草履・礼装バッグ、洋装なら細ヒールのパンプスとクラッチバッグが基本です。靴の選び方の詳細は結婚式の靴のマナーを参照してください。
失敗3:白・明るすぎる色を選んでしまった → 親族も白・オフホワイトは絶対NG。和装では白無垢は花嫁専用。洋装でも薄いクリーム・アイボリーは避ける。
失敗4:事前の試着・着付け確認を怠った → 特に留袖・振袖のレンタルは早めに予約(挙式の3〜6カ月前が理想)。着付けの手配も同時に確認する。
費用の目安:親族の礼装にかかるコスト
| 服装 | 購入 | レンタル |
|---|---|---|
| 黒留袖(五つ紋) | 15〜40万円 | 5〜12万円 |
| 色留袖・振袖 | 15〜30万円 | 4〜10万円 |
| 紋付袴(父親) | 10〜30万円 | 3〜8万円 |
| モーニングコート(父親) | 8〜20万円 | 1〜3万円 |
| ダークフォーマルドレス(母親) | 3〜15万円 | 2〜5万円 |
| ブラックスーツ・礼服(兄弟) | 3〜10万円 | 1〜2万円 |
レンタルは式場提携のブライダルショップや百貨店、ネットレンタルで手配できます。式場提携は着付けがセットになるケースが多く便利ですが、費用は割高になる場合があります。
まとめ:親族の服装で押さえる5つのポイント
- ゲストより格を上げる — 正礼装・準礼装が基本
- 両家で格を揃える — 事前に新郎新婦を通じて確認
- 白・オフホワイトは避ける — 和装・洋装ともに共通ルール
- 式の形式に合わせる — 神前式は和装優先、チャペルは洋装が自然
- 早めに手配する — レンタルは3〜6カ月前から準備
お呼ばれ服装全体のマナーでは、ゲストの一般的な服装選びについても詳しく解説しています。また、式当日の親族としての振る舞いの一環として、招待状への返信マナーも事前に確認しておきましょう。
服装と合わせて、親族としてのご祝儀の相場や準備については親族のご祝儀マナーも参考にしてください。
出典・参考文献
Footnotes
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リクルートブライダル総研, ゼクシィ結婚トレンド調査2024, 2024. https://souken.zexy.net/research_news/marriage-wedding/trend.html ↩