
ご祝儀はふくさに包んで持参し、受付でふくさから出して両手で「本日はおめでとうございます」と添えて渡します。
これが結婚式当日のご祝儀の正しい渡し方の基本です。ふくさの選び方から包み方、受付でのひと言まで、一連のマナーを順を追って解説します。ご祝儀袋の書き方や金額の相場についてはご祝儀の完全ガイドをご覧ください。
ふくさとは何か・なぜ必要なのか
ふくさ(袱紗)はご祝儀袋を包む布のことです。持参するまでの間にご祝儀袋が折れたり汚れたりするのを防ぐ実用的な役割と、「大切に持参した」という誠意を示す礼儀的な役割を兼ねています。
ご祝儀袋をそのままバッグに入れてくる方もいますが、袱紗なしは「略式」と受け取られる場合もあります。2,000円前後から購入できるので、一枚持っておくと安心です。
ふくさの種類と色の選び方
ふくさには大きく3タイプあります。用途と価格帯を以下にまとめました。
| タイプ | 特徴 | 価格目安 | おすすめ度 |
|---|---|---|---|
| 平ふくさ(布のみ) | シンプルな一枚布、コンパクト | 1,000〜3,000円 | ★★★★☆ |
| 台付きふくさ | 内側に台(硬い台紙)付き、渡しやすい | 3,000〜8,000円 | ★★★★★ |
| 金封ふくさ(がまぐち型) | 財布のように開閉するタイプ | 1,000〜4,000円 | ★★★☆☆ |
色の選び方は次のルールに従います。慶弔どちらにも使いたい場合は紫を選ぶのが定番です。
| 色・系統 | 慶事(結婚式)向け | 弔事向け | 備考 |
|---|---|---|---|
| 赤・ピンク・オレンジ | ◎ | × | 慶事専用 |
| 金・黄 | ◎ | × | 慶事専用 |
| 紫 | ◎ | ◎ | 慶弔兼用で便利 |
| 緑・抹茶 | ○ | × | 慶事向きだが地味な印象 |
| 黒・紺・グレー | × | ◎ | 弔事用のため結婚式には不向き |
| 白 | × | △ | 弔事・中立、結婚式には避ける |
ふくさの包み方(平ふくさ・布タイプ)
平ふくさでご祝儀袋を包む手順を、慶事の作法に沿って説明します。慶事は左開きが正しい向きです。
- ふくさをひし形(角が上下左右を向く向き)に広げ、中央よりやや右寄りにご祝儀袋を表を上にして置く
- 右の端を折り返し、ご祝儀袋の上に重ねる
- 下の端を折り上げる
- 上の端を折り下げる
- 最後に左の端を折り込む(左が最後=左開き=慶事)
包み終えたふくさは、表側が外側に見える状態になります。左端を手前に引くとご祝儀袋が出てくる構造です。
台付きふくさの場合は台の上にご祝儀袋を乗せ、同じ手順で包みます。受付で台ごとそのまま差し出せるため、スムーズに渡せます。
**金封ふくさ(がまぐち型)**の場合は、ご祝儀袋を中に入れて留め金を閉じるだけです。渡す際はふくさを開いて取り出します。
受付での渡し方:ステップ別
受付に並び、自分の番が来たら次の手順で渡します。
ステップ1:一礼して挨拶する
受付の方が自分に向いたタイミングで、軽く一礼して「本日はおめでとうございます」と挨拶します。長い言葉は不要です。後ろに列が続いている場合は特に短くまとめます。
ステップ2:ふくさを開いてご祝儀袋を取り出す
バッグからふくさを取り出し、受付台の上でふくさを開きます。平ふくさの場合は左端から開き、台付きふくさの場合は台ごとひし形に広げます。
ステップ3:相手に向けて両手で差し出す
ご祝儀袋の表書き(「寿」や「御祝」などの文字と自分の名前)が相手から読める向きに向け、両手で丁寧に差し出します。台付きふくさの場合は台ごと差し出し、相手がご祝儀袋を受け取ったら台とふくさを手元に引き戻します。
ステップ4:ひと言添える(任意)
基本の「本日はおめでとうございます」だけで十分ですが、関係が近い場合は「お招きいただきありがとうございます。ご両人によろしくお伝えください」と添えても自然です。
ステップ5:記帳して退く
受付でのご芳名帳への記帳を済ませ、次の方のために素早く移動します。ふくさはバッグにしまいます。
渡すタイミング:いつ渡せばいい?
| シチュエーション | 渡すタイミング |
|---|---|
| 挙式+披露宴に出席 | 挙式前の受付で渡す(最もスタンダード) |
| 披露宴のみ出席 | 披露宴前の受付で渡す |
| 欠席するが事前に手渡し | 挙式の1〜2週間前を目安に直接渡す |
| 欠席で当日渡せない | 欠席時のご祝儀マナーを参照 |
| 結婚報告を受けてから後日 | できるだけ早く、遅くとも1ヶ月以内に渡す |
受付に並ぶ際はご祝儀袋をすでにふくさに包んだ状態でバッグに入れておき、自分の番が来てから取り出します。並んでいる間にあらかじめ取り出しておく方もいますが、バッグの外で持ち続けると袋が汚れる可能性があります。
お札の準備:新札とお金の向き
ご祝儀には**必ず新札(ぴん札)**を使用します。新札は「お祝いのために事前に準備した」という誠意を表す日本の慶事マナーです。
- 銀行の窓口で「新券に交換してほしい」と申し出る(通帳不要、手数料無料の場合が多い)
- 銀行ATMの「両替」機能を利用する
- 式当日から逆算して3〜5日前までに準備しておくと安心
お札の向きはご祝儀袋の中袋(内袋)に入れる際、肖像が上・表を向くように揃えます。複数枚ある場合は全て同じ向きに揃えて入れてください。
式のスタイル別:神前式・チャペル・仏前式
ご祝儀の渡し方は式の形式を問わず基本的に同じです。ただし会場の設営や受付の位置が異なる点に注意しましょう。
**神前式(しんぜんしき)**では、神社や神殿内の受付は挙式棟への入口付近に設けられることが多く、参拝と受付が重なる場合があります。案内スタッフの指示に従って受付に進みましょう。
**チャペルウェディング(教会式)**では、チャペル入口に受付が設けられるのが一般的です。早めに到着して受付を済ませ、着席した上で挙式を待つ流れが多いです。
仏前式は寺院内で行われる場合が多く、本堂の前や境内の受付で渡すケースが主流です。神前式と同様にスタッフの誘導に従ってください。
披露宴のみ・会費制パーティーの場合は、会費とご祝儀を混同しないよう注意が必要です。会費制の場合はご祝儀袋ではなく会費を現金(新札が望ましい)で直接支払います。詳細は会費制パーティーとご祝儀の違いで解説しています。
ご祝儀とお祝い金は贈与税の対象外
ご祝儀を渡す際に「多額のお祝い金は税金がかかるのでは」と心配する方がいますが、社会通念上相当と認められる範囲のご祝儀・お祝い金は贈与税の課税対象外です1。常識的な金額(友人:3万円、親族:5〜10万円など)であれば税務上の問題はありません。
よくあるミスと対処法
ふくさを忘れた場合:ハンカチ(白または淡色系)で代用できます。ご祝儀袋が清潔な状態であれば、受付の方は理解してくれます。
新札を用意できなかった場合:できる限り綺麗なお札を使いましょう。どうしても折れ目のあるお札しかない場合は、アイロンをあてて伸ばす方法があります。濡れタオルを置いた上から低温でアイロンを当てると、ある程度伸ばすことができます。
受付の列が長く焦ってしまう場合:並んでいる間にふくさをバッグから取り出し、開く準備だけしておきましょう。ただし外でご祝儀袋を出したまま持ち続けるのは避け、ふくさに包んだまま手に持つ程度にとどめます。
連名・複数人でまとめて渡す場合:連名でのご祝儀袋は1つにまとめて1人の代表者が受付で渡します。代表者は「○○、△△、□□と連名でお持ちしました」と伝えると丁寧です。
まとめ:ご祝儀の渡し方チェックリスト
当日スムーズに渡すための確認リストです。
- 慶事用の色(赤・ピンク・紫・金など)のふくさを用意した
- ご祝儀袋を左開き(慶事の包み方)でふくさに包んだ
- お祝い金は新札を銀行で用意した
- お札の向きは全て揃っている
- ご祝儀袋の表書き・名前の記入を確認した
- 挙式前の受付で渡す(持ち込んだまま席についていない)
- 渡す際に「本日はおめでとうございます」のひと言を用意している
ご祝儀を渡す際のマナーは細かく見えますが、要点は「ふくさに包んで丁寧に持参し、受付で両手で渡す」これだけです。
お祝いのメッセージ・言葉の選び方も合わせて参考にすると、当日のコミュニケーションがよりスムーズになります。
出典・参考文献
Footnotes
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国税庁, 「No.4405 贈与税がかからない場合」, 2025年. https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm — 「個人から受ける祝物または見舞いなどのための金品で、社会通念上相当と認められるもの」は贈与税非課税と明記。 ↩