
披露宴なし・挙式のみの「ナシ婚」は、2020年代に入り日本で急速に定着した結婚スタイルです。ゼクシィ結婚トレンド調査2024年版によると、2023年度のウエディングイベント実施率は77.8%1。つまり約5組に1組はなんらかの式を省略しています。費用・準備の負担を大幅に抑えられる一方、ゲストへのお披露目の機会が減るというトレードオフがあります。この記事では、ナシ婚のメリット・デメリット、選び方のポイント、費用の目安、ご祝儀の扱い方を具体的に解説します。
ナシ婚とは何か:3つの形
「ナシ婚」という言葉は複数の意味で使われます。正確に理解しておくことで、自分たちに合うスタイルを選びやすくなります。
① 完全ナシ婚(婚姻届のみ) 挙式も披露宴もおこなわず、役所に婚姻届を提出するだけで入籍します。費用はほぼゼロ。手続きと報告だけで完了する、もっともシンプルな形です。
② 挙式のみ・披露宴なし 神前式やチャペルウェディングで挙式はするが、披露宴(会食)は省略します。身内だけでの挙式後に少人数の食事会にする、という形も含まれます。
③ フォトウェディング+入籍 ドレスや白無垢・色打掛で撮影だけをおこない、式は挙げないスタイルです。写真という形で記念を残したいカップルに選ばれています。
この3パターンのどれを選ぶかによって、費用・準備量・思い出の残し方が大きく変わります。
ナシ婚を選ぶ主な理由
ナシ婚を選ぶ背景には、個人の価値観と現実的な事情の両方があります。よくある理由を整理すると、以下のとおりです。
- 費用の節約 ― 挙式・披露宴の平均総額は343.9万円1。この支出を抑え、新居・旅行・老後資金に充てたいというカップルが増えています。
- 準備の手間を減らしたい ― 一般的な結婚式の準備期間は平均12〜18か月。仕事が忙しいカップルや共働きのカップルには大きな負担です。
- 人前での緊張・注目が苦手 ― 大勢の前に立つのが苦手な人にとって、式なしは精神的なプレッシャーを軽減できます。
- 再婚・授かり婚など事情がある ― 再婚の場合や妊娠中の入籍など、大きな式を挙げにくい状況もナシ婚を選ぶ理由になります。
- 感染症・災害後の価値観変化 ― 2020年以降、「小さく・シンプルに」という志向が広まりました。
ナシ婚の費用:選択肢別の目安(日本円)
形式によって費用は大きく異なります。下の表は、一般的な選択肢ごとの概算です。
| スタイル | 費用の目安 | 主な内訳 |
|---|---|---|
| 完全ナシ婚(婚姻届のみ) | ほぼ0円 | 婚姻届の手数料のみ |
| フォトウェディングのみ | 10〜30万円 | 衣装・撮影・ヘアメイク |
| 挙式のみ・少人数食事会 | 30〜80万円 | 挙式料+会食費 |
| 家族婚(10人前後) | 60〜120万円 | 挙式+披露宴(小規模) |
| 一般的な披露宴あり | 平均343.9万円1 | 挙式+披露宴フル |
完全ナシ婚と一般的な披露宴あり婚では、費用差が300万円以上になります。ただしナシ婚でも「フォトウェディング」「食事会」を追加すると、その分の費用は加算されます。
ご祝儀はどうなる?ナシ婚のお金の話
披露宴を省略するとご祝儀はどうなるのか、気になる人は多いでしょう。
結論:式なしでも祝い金をもらうことは多い
披露宴に招待しない場合でも、結婚の報告を受けた親族・友人・職場の同僚から、個別にお祝いを贈ってもらえることは珍しくありません。ただし、招待状を出していないため、披露宴に招待した場合より金額・件数が少なくなる傾向があります。
ご祝儀をもらった場合のお返し(内祝い)
お祝いをいただいた場合は、いただいた金額の3分の1〜半額程度を目安に内祝いを贈るのがマナーです。式の有無にかかわらず、この慣習は変わりません。カタログギフトや消耗品(タオル・スイーツ)が定番です。
費用とご祝儀のバランスを考える
一般的な披露宴では、ゲストからのご祝儀がかなりの割合を占めます。結婚式の費用詳細では、自己負担額とご祝儀の差額について詳しく解説しています。ナシ婚ではゲストを招かない分、ご祝儀収入はなくなりますが、支出もほぼゼロになるため、純粋な出費という意味では合理的な選択です。
メリットとデメリット:率直に整理する
ナシ婚の主なメリット
- 費用を大幅に削減できる(100万〜300万円以上)
- 準備のストレスがない(招待状・席次・引き出物・演出など不要)
- タイミングを自由に選べる(入籍日を好きな日にできる)
- 二人のペースで進められる(ゲストへの気遣い不要)
- 妊娠中・体調不良でも無理がない
ナシ婚の主なデメリット
- お披露目・感謝の機会を逃す(親族・友人への感謝を伝えにくい)
- 写真・映像が残らない(完全ナシ婚の場合)
- 親世代が寂しく思うことがある(特に両家の親)
- ご祝儀収入がないまたは少なくなる
- 後から「やっておけばよかった」という声が出やすい
デメリットの多くは、フォトウェディングや少人数の食事会を組み合わせることで補えます。「挙式も披露宴もゼロ」という完全ナシ婚より、「フォトのみ」または「挙式のみ+家族食事会」というハイブリッドが、後悔の少ない選択肢として人気です。
親への説得と報告:押さえておきたいポイント
ナシ婚でもっとも難しいのが親・両親への説得です。特に親世代は「披露宴があってこそ結婚」という感覚を持っていることも多く、十分な対話が必要です。
伝え方のコツ
- 理由を正直に話す:「費用の問題」「体への負担」「ふたりの価値観」など、具体的に伝える
- 親の気持ちを受け止める:否定せず、「式をしないことへの寂しさ」に共感する
- 代替案を一緒に考える:食事会・フォトウェディングを提案する
結婚挨拶の場も活用する
ナシ婚だからこそ、両家への結婚挨拶はより丁寧におこないましょう。親への報告と挨拶を大切にすることで、「式なし」への理解を得やすくなります。
ナシ婚に向くカップル・向かないカップル
すべてのカップルにナシ婚が合うわけではありません。以下の特徴を参考にしてください。
ナシ婚に向くカップル
- 費用を将来(住宅・旅行・子育て)に回したい
- 準備の手間を最小化したい
- 親族・友人との関係が広すぎず、個別に報告できる
- 写真撮影だけはしっかり残したい(フォト婚併用)
慎重に検討すべきカップル
- 両親・義両親が「式を挙げてほしい」と強く望んでいる
- 友人・職場関係が広く、多くの人に直接感謝を伝えたい
- 記念の場・特別な体験を大切にしたい
- 将来子どもに結婚の様子を見せたい
どちらが「正解」ということはありません。ふたりの価値観と、それぞれの家族の気持ちを丁寧にすり合わせることが大切です。披露宴の流れ全体についてもあわせて確認すると、式を挙げる場合のイメージがつかみやすくなります。
ナシ婚後のお披露目:代替手段5つ
式を挙げなくても、お披露目や記念の場を作る方法はいくつもあります。
- フォトウェディング:衣装を着て撮影だけをプロに依頼。費用は10〜30万円程度。
- 少人数の食事会:家族と親しい友人だけを招いた会食。レストランを貸し切るケースも。
- 結婚報告はがき:プロに撮影した写真入りのはがきを送付。丁寧な印象を与えられる。
- 旅行先での記念撮影:新婚旅行先でリゾートウェディング風の撮影をする。
- オンライン披露宴:遠方の親族・友人と動画通話でつながる。海外在住の友人にも報告できる。
これらの手段を組み合わせることで、完全ナシ婚でも「思い出」と「感謝の場」を残すことができます。
まとめ:ナシ婚は「逃げ」でなく「選択」
ナシ婚は「節約のための妥協」ではなく、ふたりの価値観に合った積極的な選択です。2023年度のデータでは、約22%のカップルが何らかの形でウエディングイベントを省略しています1。
大切なのは、「形を省略した分、気持ちとコミュニケーションを丁寧にすること」です。親への報告、ご祝儀のお礼、フォトウェディングや食事会など、式のかわりとなる手段を上手に使うことで、後悔の少ない入籍を実現できます。
ナシ婚か披露宴ありかで迷っている方は、ふたりで費用と理想を丁寧に話し合うことが、後悔しない選択への近道です。
出典・参考文献
Footnotes
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リクルートブライダル総研, ゼクシィ結婚トレンド調査2024年版, 2024. https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/1025_14862.html ↩ ↩2 ↩3 ↩4